オールした後の帰り道だったり、遠出するときの早出だったり、初日の出を見に行く朝だったり。
とかくわたしは早朝に道を歩くことが好きだった。
世界が起きたばかりで静かな空気感が、空がだんだんと明るくなってくる様子が、とても尊いものに感じられるのかもしれない。
しかし毎日起こっていることなのにあまり目にしない。
理由は簡単で、そんな早くに目を覚ますことができないからだ。
好きといっても眠気には耐えられない、睡眠時間を削るほどではない。
窓に当たる光がまだ強くない午前5時。
薄目で時間を確認したあと、わたしは別世界に吸い込まれるように意識を手放した。